研究概要 |
本研究に必要な実験装置を設計・試作すると同時に,理論解析等も行った.理論解析では,次のことが明らかになった. (1)ハードディスクシステムにあるような超高せん断流の下では,吸着膜が空気せん断流に流され,従来の静的飽和状態に到達できず,常に吸着し続ける.超高せん断流下のこの現象をポンピング効果と名付けた.ハードディスクのスライダ空気軸受表面のポンピング効果をモデル化し,理論的に予想できるようになった. (2)ポンピング効果に基づいて,空気軸受表面の吸着予測プログラムを作成し,三次元の幾何学形状を有するスライダ軸受表面の吸着膜厚の解析を行った. (3)ポンピン効果は無次元のλの値によって2種類に分けられる.λ<0.1の場合はせん断流速度制御のポンピング効果になり,λ>0.4の場合は吸着速度制御のポンピン効果になる. (4)せん断流速度制御のポンピング効果においては,吸着物の蓄積速度がディスクの速度に比例し,飛行高度に反比例する. (5)吸着速度制御のポンピング効果においては,吸着物の蓄積速度がディスク速度と飛行高度に無関係で,主に吸着速度に依存する. また,スライダ空気軸受の実験では次のことが明らかになった. (1)スライダ空気軸受にはテーク・オフ荷重とタッチ・ダウン荷重があり,空気軸受は両荷重の間に正常に機能する。 (2)テーク・オフ荷重はディスク速度に殆ど依存しないが,タッチ・ダウン荷重はディスク速度が高くなるにつれて低下する.
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