研究概要 |
【低アスペクト比Taylor渦カオス混合に対する解析】TVF (Taylor Vortex Flow)微生物培養装置の撹搾混合状態を解析した.装置対象寸法はΓ(アスペクト比)=1.0,回転Reynolds数(Re)は20000程度である.半径比η=0.375とした.固液混合相の乱流遷移状態はUVP測定装置によって計測した.この結果高Re数でも主渦はその原型を保持しており,UVPの結果でも再確認された.主渦内部は複雑で渦の分裂,融合を繰り返し,装置底部のエクストラ渦が大きく発達する様相を呈しており,微生物撹拝の実験と整合性のあるデータが取れつつある. 【Taylor渦濾過装置】濾過実験ではΓ=3とし,ナイロン粒子(平均粒子径約77μm,比重1.2)を使用した.η=0.375である.回転フィルターによる圧損低減効果の大きい実験結果が得られたが,低確率で生じる流体の不安定現象に起因したケークの異常堆積についてはその原因を明らかにすることはできなかった.この現象は高速回転でも低頻度ながら発生することは事実であり,カオス混合との関連性に起因すると思われる.今後は,より計測精度を向上させて,流れと固体粒子の挙動(大きさ,濃度)を測定する必要がある.コンピュータを用いた粒子-流体挙動の解析はTVFの実験で観察される一定軌道を周回する粒子群を再現させることができた.より定量的な実験に展開し,TVF撹拌混合解析の精度をアップさせる.本解析は固気体混合(例えば高炉内粒子モデルや食品粉体・混練関連)でも基本的に応用できると考えられる. 【Taylor渦型微生物バイオリアクター】スピルリナ藻体(微生物)は沈殿するReynolds数領域が狭いことが判明した.このためTVFの高速回転による藻体細胞破壊率の検証を優先させた.この結果,Re=40000程度までは細胞壁の弱いスピルリナでも殆ど細胞破壊することはなかった.現在細胞破壊率の測定に対して,吸光スペクトル法(定量測定)も含めた複数の測定法を考案中であり,確度の高い測定データの取得を目指す.
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