| 研究概要 |
本研究は,極限風況(強風・ガスト)と通常風況(流入風の乱流特性・ウィンドシアetc.)の両者を併せた複合的流入風条件が,水平軸風力タービンの空力学的特性に及ぼす影響を数値解析により明らかにし,空力学的側面から風力発電システム(WTGS)の発電量ならびに寿命予測を行う手法の確立を目指すものである.
平成18年度は,通常風況・極限風況に関する流入風モデル構築と水平軸風力タービンへの影響に関して以下の研究を実施した.
・風況観測時系列データを基に,ガストに伴う風速変動の様相を統計学的手法に基づき抽出し,コヒーレントガストモデルに加えガストの空間的な拡がり(空間ガストモデル)について検証を行った.
・上記空間ガストモデルを流入風とした際の水平軸風力タービン空力動特性を加速度ポテンシャル法に基づく数値解析により調べた.
また,タービン翼弾性の影響に関して以下の研究を実施した.
・タービン翼をマルチボディダイナミックスモデルにより表現し,水平軸風力タービンに対して斜め流入風を導入した場合につき,流体・振動連性解析を実施した.NREL風洞風車の実験結果と解析結果の比較検討を行い,翼のフラップ方向振動につき1次・2次固有振動に関して定量的な一致が得られた.
・翼振動に伴う相対速度変化の影響により,翼に働くフラップ方向への変動流体力モーメントには減衰作用が存在することが明らかになった.
さらに,屋外に設置した小型風力タービンを用いて,流入風条件が発電量特性,騒音特性に及ぼす影響を実験的に調べると共に.実機大型風力タービンの発電特性解析を実施した.これらの成果は,学会等で発表を行うと共に,成果報告書にまとめた.
|
