研究概要 |
本研究では,熱交換器の性能を向上させるために,フィン付き伝熱管表面の粗面の流れと乱流諸特性を実験的に調査し,流動抵抗の発生原因を明らかにするとともに,抵抗低減化技術について検討した.その結果,以下の結論を得た. 1.ソリッドフィンのピッチが大の場合,フィンは伝熱管の表面上で案内羽根として機能しており,管表面上の流れを偏向させる性質がある.ピッチが小さくなると,フィンの主流に対する角度が小さく,流れの偏向は小さくなる. 2.セレイティッドフィンのピッチが大の場合には,フィン先端の微小突起において流れがはく離するため,ソリッドフィンと比べ流動抵抗は増加し,フィン表面と主流とが接触し難いため,伝熱性能も低下すると考えられる. 3.セレイティッドフィンにおいてピッチが小さくなると,微小突起により流れが大きく偏向する.フィンの案内羽根としての効果は,螺旋に起因するフィン本体の流れに対する傾斜よりも,先端の微小突起の方が支配的である.伝熱特性が向上する原因は,乱れの増加だけでなく,管表面から流れがはく離するまでの流体と管表面およびフィンとの接触距離が長くなるためと考えられる.流れの偏向が大きいため,ソリッドフィンと比べ流動抵抗は増加する. フィンピッチがさらに小さくなると,流れはフィン間に流入せず,主にフィンの外側を流れる.このときフィンは伝熱促進にはあまり寄与していない. 4.セレイティッドフィン付き管の外側に,直径が3〜5mmの乱れ発生装置を螺旋状に設置すると,渦に因る速度変動強さが若干弱まり,渦の巻き上がり位置が下流側へ移動する.さらに,渦の周期性が強まり,その放出周波数が低下し,渦のスパン方向相関長さが増大する.しかしながら,流れはフィン間に流入せず,主にフィン外側を流れるため,伝熱性能は低下すると考えられる.
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