研究概要 |
衝撃波管を利用し、水蒸気を含んだ固体微粒子や炭化水素を衝撃加熱することにより,低エネルギー状態の低温混合気より、熱ポンプとして作動させた衝撃波管により高エネルギー状態の高温混合気を生成する。この高温気体中で、炭素粒子と水蒸気の水性ガス反応,また炭化水素やさらに少量の酸素を含んだ気体を熱分解・還元ないし部分的な酸化反応を起こし、水素並びに一酸化炭素やエチレン等を生成し、その温度依存性、初期混合気組成、炭素粒子径との関係を実験的に求めた。その結果以下の結論を得た。(1)衝撃波管中に炭素粒子を封入し、後からアルゴンを吹きつけて,衝撃波管中に炭素を巻き上げる手法で炭素を管中に分布させ,衝撃波で加熱した。これを可視・赤外線領域の0.63,0.80,1.12,1.52,2.30,3.44,3.92,4.26μmの波長における単色輻射能の時間変化を追跡し、Hottel-Broughtonの式を適用し、炭素粒子温度を求めた。この結果5μmの炭素粒子は200μs以内に本衝撃波管により、1500-2000K加熱できることを観測した。(2)炭素・水蒸気混合気の加熱では2000K以上の反射衝撃波中で封入水蒸気に対し、数千ppmの収量を得た。(3)アルゴン希釈した正オクタンの熱分解により、水素とエチレン・ススの生成が観測され、メタン・アセチレンの生成が予測された。高圧側にヘリウムと窒素の2種類の駆動気体を用いて実験が行われ、水素の収率x=n(H_2)/n(C_8H_<18>)はT_5=1500Kにおいて、窒素使用の場合x=1程となり、ヘリウム使用ではその1/10ほどであった。反射衝撃波温度T_5で代表した収率の温度依存性はいずれの場合もアレニウス表現で70-80kJ/molであった。また、T_5=2000K以下、正オクタン=1-2.5%の本実験条件下では収率は原料の正オクタン濃度に比例した。2000K以下では、酸素を微量混合して、一部発熱反応を起こさせた方が水素の収率は高くなった。以上の成果より、低エネルギーレベルの熱源を利用した衝撃波管による高級炭化水素よりの水素生成の工業的可能性を確認した。
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