研究概要 |
本研究は,電気二重層のもつ2つの作用である電気浸透に関連する界面動電現象の誘因作用と粒子間に働く電気二重層の重なりにより生じる電気二重層斥力の作用に焦点を置き,それぞれ対応する伝熱現象を電気二重層と関連づけて取り扱うもので,電解質水溶液の凝固に伴う粒子の掃き出し・補足現象および電気浸透による粒子層の脱水・乾燥を対象として以下の成果を得た。 (1)ガラス粒子およびアルミナ粒子を含む電解質水溶液(主に,塩化ナトリウム,塩酸,水酸化ナトリウム)の凝固実験を行い,水溶液濃度と限界凝固速度の関係を実験的に明らかにし,電解質水溶液中における粒子の掃き出し・補足現象に及ぼす電解質濃度および表面電位の効果について明らかにした。さらに,凝固層と粒子間に働く電気二重層斥力に対し,DLVO理論を基礎とした取り扱いを示し,粘性抵抗力,重力を加えたモデルにより限界凝固速度を理論的に求め,実験結果との比較検討を行った。 (2)難脱水性を示す粒子層の脱水・乾燥に対する電気浸透の効果を明らかにするために,シリカ粒子およびベントナイト粒子を用いた電気浸透脱水および乾燥実験を行った。電気浸透脱水に対する電場強度および電極位置の効果を実験的に明らかにするとともに,電気浸透流とダルシー流を組み合わせて取り扱い,飽和および不飽和状態に適用できる電気浸透流モデルを提示した。
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