研究概要 |
本研究は,特定の冷却伝熱面を用いないで氷柱を生成する方法に着目し,それを凍結濃縮に応用することにより低濃度溶液を一度の凍結操作で高濃度溶液に濃縮する方法を提案するものであり,4つの課題に分けて研究を行い,以下のような成果を得た. (1)水滴落下による氷柱の生成現象:冷却室に水滴を落下すると冷却室底面に氷柱が生成されるが,その生成現象を明らかにするために,先ず,試料液として水を用いて凍結実験を行った.その結果,氷柱形状は冷却室温度や液滴質量などにより円柱形,螺旋形,円錐形,陥没形の4つのタイプに分類できることを明らかにした. (2)水溶液の液滴落下による氷柱の生成現象:試料液としてエチレングリコール水溶液を用いて凍結実験を行った結果,氷柱形状は水の場合と同様に4つのタイプになり,また水溶液の過冷却解消を促進するために,液液落下位置に種氷を設置することが有効であることを明らかにした. (3)水溶液の液滴落下による凍結濃縮現象:エチレングリコール水溶液を凍結して生成する氷柱根元には,濃縮液が得られることを明らかにした.また,この濃度は冷却室温度と等しい凝固温度をもつ濃度に濃縮される.すなわち,一度の濃縮操作で所定の冷却室温度まで濃縮が可能であることを明らかにした.一方,氷柱濃度は初期液滴濃度より薄くなり,氷柱生成により水溶液の浄化作用が可能であることを示した. (4)凍結濃縮の予測式:液滴としてエチレングリコール水溶液を用いた場合の無次元濃縮量,無次元凍結量などの実験データを解析モデルを用いることにより整理し,氷柱による凍結濃縮現象を系統的に明らかにした.
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