研究概要 |
高い絶縁性能と電子速度を有し,次世代半導体材料として有望視されている,シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのワイドギャップ半導体について,ナノ〜マイクロスケールの半導体素子の熱物性や熱輸送機構に焦点を絞り,定量的な予測が可能となるモデル構築を目指すことを目的として本研究を行ってきた.具体的には分子動力学法などの分子シミュレーション,ボルツマン方程式などの波動論レベルのシミュレーション,ならびに我々のグループが最近開発した格子振動解析の新しい手法を統合することで,ナノスケールの構造性固体の熱物性を予測する定量的モデルを構築することを目指した. この目的に沿って,以下のことを行った:(1)100nm程度以下の空間スケールでの熱特性を求めるために,大規模粒子系用の分子動力学(MD)シミュレーションコードを開発した.(2)MDシミュレーションで得られる格子振動データから,本研究で最も重要となるフォノン寿命を評価するための統計力学的手法を開発した.(3)このシミュレーションコードと解析手法を用いて,Si結晶,Si/SiO2界面系,Si/SiC界面系などの熱伝導評価と格子振動解析を行い,フォノン寿命やフォノン平均自由行程の振動数依存性,界面でのフォノン散乱の詳細などについて解析を行い,シミュレータの性能を確認した, これらの成果の一部は,2007年7月に行われる日米合同熱工学会議において発表すると共に,原著論文として投稿準備中である.
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