研究概要 |
本研究により,水素社会に向けた,新しい高性能な水素吸蔵物質としての可能性を秘めたカーポンナノチューブを将来的にプラズマCVDによって合成促進するために有効となるプラズマ(非平衡プラズマ)の構造と性質について以下の知見を得た. 1.アセチレンを炭化水素源として用いたCVDでは,ヘリウム混合を行うことで,原料ガス分圧を高くすることができると同時に,圧力範囲を高い方向に非常に広く設定することが可能となる.これにより,プラズマの制御性が大きく向上する.また,RF放電を用いたアセチレンー水素反応系による実験では,パルス変調により,プラズマ中に発生するイオン.またこれに関わる中性ラジカル種の生成の制御が可能である.しかし,アセチレンの反応性は非常に高いため,上記に述べた制御性の良さが十分に生かしきれない.このため,アセチレンー水素反応系によりカーボンナノチューブを合成した実績を,文献から調べることができるが,あまり適さないことも考えられる. 2.RF放電によるメタンー水素反応系を用いたCVDでは,アセチレンを用いた場合と同様に,ヘリウム混合を行うことで,原料ガス分圧を高くすることができると同時に,圧力範囲を高い方向に非常に広く設定することが可能となる.これにより,プラズマの制御性が大きく向上する.また,パルス変調により,プラズマ中に発生するイオン・またこれに関わる中性ラジカル種の生成の制御が可能である.アセチレンとは異なり,メタンの反応性は反応制御を行うという点では極めて優れた特性を有する.合成実験を行った結果,高水素吸蔵性を示す可能性を有する材料が合成され,非常に有望な材料合成法であることを明らかにした. 以上のイオン・電子の運動制御技術を応用し、低水素濃度燃料の固体高分子形燃料電池への高効率利用や,光触媒粒子を用いた誘電体バリア放電法による高効率オゾン生成の実現を可能にした.
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