研究概要 |
最近空中を回遊する無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の有用性が急速に注目を浴びている。申請者の研究室においても早くからUAVの研究を行っており平成16年度までにUAVシミュレータを製作した。UAVを長時間飛行させるためにUAV相互の空中給油が研究されている。この場合は2次元画面を見ながらオペレータが操縦しても非常に難しい。そこでマニピュレータを利用した3次元スケールモデルシミュレータの開発を企画した。広大な空間を要する誘導・会合制御についてスケールモデルを用いることにより小さな実験室で3次元的に目標を目視しつつ実験を行えるシミュレータの製作を行い,その性能評価を行う。本研究においては主としてUAV航空機の空中給油を対象とした誘導制御実験を行うこととした。ここで受油機は単独で広大な空間を自在に飛行できるものとする。そこで,これについては6リンクのマニピュレータを用いて稼働領域を十分に大きくとることができるように設計した。平成17-18年度にこの設計,製作を行いまた性能評価を行った。一方給油機の方は大きな稼働領域を必要としないので,5リンクのマニピュレータとして平成18-19年度にこの設計,製作を行いまた性能評価を行った。これらのマニピュレータと既に開発済みのUAVシミュレータとインタフェースを取り,当初企画した三次元スケールモデルシミュレータを構成した。研究によって期待される効果として,広大な空間を必要とする試験を小さな実験室で手軽に行える,また従来のものと異なり本シミュレータにおいては3次元的に目視できることにより,更に精度のよい制御が行えると考える。本研究の過程で3件の国際会議を含む8件の学会発表を行い,また3編の修士論文,5編の卒業論文が完成し,それぞれ学位を授与された。なお医学分野には脳外科などで似たアイデアが有るが,工学分野で広大な空間における運動をスケールモデルを用いて3次元で再現しようとするアイデアは新規と考える。
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