研究概要 |
本研究においては,同一のアクチュエータをセンサとしても使用する圧電アクチュエータのセルフセンシングアクチュエーション技術をHDD用マイクロアクチュエータに適用し,振動・位置制御をおこなった.具体的には,まず,圧電素子の圧電特性に着目し,ひずみ・ひずみ速度に比例した圧電電圧を自己検出できるセルフセンシングアクチュエーションシステムを構成した.次に,これらのセルフセンシング量をアクティブ振動制御,位置追従制御へ応用し,その有効性についてシミュレーション,実験により検討をおこなった.しかし,回転させていない磁気ディスク上での実験であったため変位の大きい曲げモードとねじりのモードが現れてしまい,変位の小さいswayモードを観測することができなかった.そのため,セルフセンシング信号を用いたswayモードの制御はできていないという問題点があった.そこで,本研究では,ディスクを回転させた状態で実験を行ない,スライダ変位,センサ電圧においてswayモードの観測をおこなった.そして,swayモードを取得できる実験環埠を整え,セルフセンシングアクチュエーションシステムを構成し,アクティブ振動制御,位置追従制御へ応用することによって,その有効性について実験により検証を行なった.また,ニューラルネットワークを用い振動制御におけるフィードバックゲイン値のゲインチューニングを行い,試行錯誤的なゲイン調整の場合と制御性能の比較を行った.制御対象はマイクロアクチュエータの他にサスペンションなどを含むアッセンブリ単体とし,マイクロアクチュエータにはサスペンション駆動型を用い実験を行なった.以上の実験結果として効果的な振動抑制,位置追従性を得ることができたため,セルフセンシングアクチュエーションを用いたHDD用マイクロアクチュエータのアクティブ振動制御,位置追従制御の有効性について確認することができた.次にニューラルネットワークを用いて定義した評価関数を最小とするようなゲイン値,フィードバック出力を学習させ,その有効性についてシミュレーション,実験において検証を行った.ともに試行錯誤的なゲインまたはPPF Filterのパラメータの設定を行ったときよりも振動抑制が高い結果を得ることができた.
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