研究概要 |
本研究では人間とロボットが機械的ダイナミクスを共有しながら互いに影響し合う人間一ロボット共創システムを人間一機械制御系の観点から検討した.同時に,人間とロボットの握手動作,および,人間一機械制御系における手先到達動作に注目して検討した結果,主に以下のような成果を得た. 1.人間とロボットが握手動作において,ロボット側の動特性に応じて握手動作しやすい周波数が存在し,その周波数は人間とロボットからなる閉ループ系の共振周波数と関連性が高いことを明らかにした. 2.握手動作中のロボットの発生力と人間の手先力との間の位相差に注目した解析を行った結果,握手動作しやすいと感じている状態ではある一定の位相差が存在していることがわかった. 3.握手動作時における人間の手先力を随意的な成分と人腕インピーダンスからなる受動的な成分に分けて解析する手法を考案し,ロボットの発生力と人間の随意力との位相差がゼロになる時に握手動作しやすいと感じていることを明らかにした. 4.以上のような性質を利用して,ロボットが自身のインピーダンス調整を行うと同時に適切な周期力を発生することで人間を自然な握手動作へ誘導できることを確認した. 5.人腕を2関節モデルで表した握手動作の数式モデルを導出した.そのモデルにより,システムのダイナミクスを解析できるようになった. 6.リアルタイムトラッカーシステムを利用して,人間同士の握手動作時の各関節軌道を実時間で数値データ化するシステムを構築した. 7.人間一機械制御系において,機械側の粘性を様々に変えて手先到達動作を行わせた結果,操作力や速度だけでは明らかにできない力みが操作感に関わっていることを確認した. 8.最小自乗法に基づく手先到達動作中の人腕インピーダンスを測定する手法を開発した. 9.手先到達動作中の人腕インピーダンス変化が単調なほど操作性が高いことを見いだした.
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