研究概要 |
超高齢化社会の到来により,日常生活で介護を必要とする高齢者及び加齢による障害者の増加は不可避である.申請者のグループでは,狭い屋内環境での移動,ベッドへの幅寄せ,作業を行いながらの横移動等に有効な全方向移動車椅子をより安全・快適で操作性の良いものとするために,以下の技術を開発し,全方向移動車椅子を用いた実験により有効性を確認した. 1 ジョイスティックからの移動速度指令を4輪の各モータの速度指令に変換し,速度制御を行った.その際,申請者らのグループで開発したハイブリッド整形法を用いて,搭乗者にとって不快な揺れを起こさない速度指令に変換している. 2 車椅子周囲の環境認識を行うことにより,環境地図を作成することを可能にした,この環境地図により,ロボット周囲の障害物までの距離を正確に求めることが可能である.移動方向の車椅子の速度成分及び障害物との距離から,ジョイスティックのインピーダンスを変化させることにより,障害物のある方向に対しては移動指令を出すことが困難になるハプティックフィードバック系を構築した. 3 高齢者が(配偶者等の)別の高齢者を介護する老々介護の問題に対処するため,介護者(介助式車椅子を押して動かす人)がハンドグリップ(車椅子後部の手押し時に握る部分)を押す力を6軸力覚センサで検出し,パワーアシストを行うことによって,小さな力で違和感のない操作を可能にした.本研究では全方向移動車椅子を対象としているため,前後,旋回動作だけではなく全方向への移動及び回転を対象としている.結果については,SD法等を用いた感応検査及び実際に加えられた力成分と軌跡の解析を行うことにより,その有効性を確認した.
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