研究概要 |
本研究課題の研究期間(平成17年度〜19年度)における成果として以下の知見が得られ,それらの内容をについて研究成果報告書にまとめた。 (1)可動アーチ構造物の運動学,動力学,構造力学的特性の把握 可変形状トラスVGTを用いた構造物に対して,運動学や動力学に基づく解析方法の定式化を行い,その各種特性を把握した。特に可動アーチの両端部を支持しながら構造体の形状変化を可能にする解析手法を確立することで,可動アーチの用途を拡大させた。また可動アーチの構造力学的特性を把握することで,アーチ端部の支持方法,VGT機構の配置方法,可動範囲の特定が可能となった。 (2)可動アーチに追随する外装パネル機構の確立 可動アーチと外装パネルを統合した構造物全体の設計を行い、近未来型の可動型アーチおよび外装機構のモデルを完成した。特に,アーチ構造の形状を様々に変化させ、追随する外装パネルが全体として動く様子やその効果を動画像によって明らかにした。同時に各種部材の動的挙動、構造特性を解析し、実設計に向けたデータを取得できた。 (3)部分模型製作と実験検証 可動アーチと外装パネル機構の部分モデルを用いて,可動・可変する屋根模型の設計,製作を実施した。ここではVGTを構成する伸縮アクチュエータや多軸ノードの開発,端部機構の具体化,制御システムの開発,さらにアーチ構造と外装パネルを結合させる中間機構の考案・製作を行い,可動アーチの動きに追随する外装パネルの模型を完成した。この部分模型を用いることで,可動屋根の複雑な動きが再現でき,問題点の抽出(可動部材の範囲や干渉域)や設計法へのフィードバックを実施することができた。 一連の解析およぶ模型実験を通して,研究課題に対する有益な知見を見出すことができた。得られた結果は実設計を行うための貴重な基礎データであり,今後の研究・開発に活用してゆく。
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