研究概要 |
人工心臓駆動を目指した磁気式ポンプの試作にあたり,以下の創意工夫や対策を施した設計,製作および試験を実施したことにより,ポンプ出力0.84W,平均流量3.2e/分,最高圧力186mmHgを得ることができた。 本研究では,ポンプ構造として従来からある片容積型ではなく,ピストンの両側にシリンダを設けた構造の両容積型とした。その理由は,片容積ポンプではポンプ出力が0.94Wと両容積型に比較して若干大きな値が得られているが,最高圧力が236mmHgにまで達してしまい,人体への適合性が得られないという致命的な欠点があったためである。ポンプ出力をできるだけ維持したまま最高圧力を低減することが平成19年度の最も大きな課題であった。両容積ポンプ構造を提案し,新たに磁石設計から研究を遂行した結果,この課題を克服した成果を得ることができた。 3次元磁界解析シミュレーションにより回転および直動磁石の寸法設計を行い,外形が120mmで厚みが15mmのNd-Fe-B磁石を製作した。両容積機構における直動磁石の運動機構を実現するため,片容積機構にしか適応できないスプライン機構をやめ,新たにリニアブッシュを用いた直動機構を提案し,ポンプの設計および製作を行った。 圧力および流量測定では水道水を用い,これらの量の時間波形が記録できるよう,電圧出力のトランスデューサー付計器を使用した。これらの波形からポンプの動特性を把握することができた。これらの波形解析をしたところ,逆止弁の動作に課題が残ることなどが明らかとなった。
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