| 研究概要 |
本研究では,その目的を達成するために以下の要領で研究を実施した。
1.人体全体を電界曝露する装置の開発。
(1)人体に対する安全性の確かめられている電位治療器を中心に人体の全身への電界曝露を可能とする装置を設計,製作した。
(2)異なる環境条件で実験するため,人体全体を入れて計測を可能とする恒温恒湿装置を設計,製作した。
2.人体全体に電界曝露した際の感知閾値およびストレス反応を非接触測定する装置の開発。
(1)ヒトの手,腕など皮膚感覚刺激に敏感な部分に電界曝露した際の感知閾値を測定する装置を設計,製作した。
(2)人体の体表面の血流変化を測定する装置を設計,製作した。
(3)電界曝露時の発汗変化を測定するシステムを設計,製作した。
3.交流電界を曝露した際の感知閾値およびストレス反応を,以下の条件下で計測。
(1)上記の装置を使用して,異なる環境条件(温度・湿度)下において,性,年齢,体毛の量などの異なる被験者に対し,計測した。
(2)上記計測を多数の被験者に対して繰り返し,統計的に解析した。
4.心理条件の異なる被験者に電界曝露をした場合。
(1)被験者に電界曝露の予備知識を与えた場合と与えない場合などにつき計測した。
(2)上記計測を多数の被験者に対して繰り返し,統計的に解析した。
5.17年度と18年度の結果を総合的に解析し,電界曝露,環境,心理条件と電界感知閾値およびストレス反応との関係を明らかにした。また,これらの成果を国内の研究会で発表した。
以上の実験的研究により,電界を全身曝露した際,季節変動によりストレス反応が変化することがわかった。また同時に,心理条件を変えることにより電界感知閾値が変化することもわかった。さらにこれらの変化が,個人差や測定部位により影響することを確認した。
これらの結果により,本研究の目的として掲げた仮説に関する電界の生理作用の解析は,ほぼ達成できたと考える。
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