研究概要 |
2自由度サーフェスモータの実用化研究に取り組んだ。まず,本研究の基本となる誘導形2自由度サーフェスモータの駆動特性の検討を深めた。吸引力制御形磁気浮上を適用するためには,固定子は共通であるが,可動子に永久磁石を配置し同期形とする必要がある。そこで,同期形とした場合の特性も検討した。具体的には,以下の項目について研究を進めた。 1.搬送分岐システム 台車の作用面積を変化させて,台車分岐の実験とシミュレーションを行い,力積が,台車の分岐方向推力として働き,分岐特性に影響を及ぼしていることを明らかにした。また,搬送物を模擬する重りを台車上に偏って積載することにより重心を変位させた場合,台車が分岐部へ進入する速度を変化させた場合,重りの重量を変化させた場合,の分岐特性も合わせて検討した。 2.誘導形2自由度サーフェスモータの基本特性 複合二次導体のアルミニウム導体やバックアイアンの厚さ,複合二次導体の大きさを変化させた場合の推力について検討を進めた。 3.磁気浮上 多自由度モータを実現する場合のキーテクノロジーの一つである磁気浮上について,閉ループ制御器についてシミュレーションと浮上実験を行った。 4.数値解析と実測分離形巻線を採用した誘導形サーフェスモータと同期形サーフェスモータを想定して,基本特性を検討するため,推力発生源となる移動磁界分布や得られる推力などについて,3次元有限要素法を用いて検討を進めた。 提供された資金による成果を広く社会に公開する観点から,電気学会のシンポジウムや産業応用フォーラム,また図書(電気学会技術報告)として得られた知見を公開している。 研究期間内では,各要素技術や基本特性の検討に時間を費やしたため,多自由度モータの実用化には至っていない。今後は,これらの成果を発展融合させ実用的な多自由度モータの実現に取り組みたい。
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