研究概要 |
本研究は、半導体量子井戸や超格子をintrinsic層に含むp-i-nダイオードにおいて、強い逆電圧のもとで流れるツェナートンネル電流が、intrinsic層にある量子井戸や超格子の局在準位との共鳴の効果により変調を受けるという現象を調べることを目的とする。特に、電子波の時間発展と干渉効果という観点から、この現象を理解し記述するための理論的な枠組みを構築した。 経路積分法に基づいた半古典的共鳴トンネル効果の理論(M. Morifuji and J. Nishie, Physical Review B71, 035334(2005))と電子波干渉による固有状態の形成過程を記述するための理論(K, Ikegami, M. Morifuji他, Physica E33, 381-387(2006))を構築し、それに基づいて様々な構造でのツェナートンネル電流を調べた。さらにそれら発展させ、電流の過渡特性を計算するための理論を構築し、ツェナートンネル電流の時間依存性および高周波電界のもとでのツェナートンネル電流を理論的に調べた。さらに上記の理論を応用して、スピン分極がある場合のトンネル電流、すなわち磁気トンネル効果についても調べ、実験結果との比較を行った。
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