研究概要 |
本研究では,Siナノ結晶を内包した微小球光共振器の新たな作製方法の確立を目的とする。さらに,その光学的性質について,自然放出光と微小共振器の相互作用に関する共振器量子電気力学的見地からの解析を行うことを目的とした。研究成果の概要は以下の通りである。 試料のベースとなるa-SiOx薄膜ならびにa-SiO2薄膜は,それぞれ現有設備の高周波スパッタリング装置にて堆積したもの,あるいは熱酸化により形成したものを用いた。基板は耐熱性を重視してタングステンを用い,堆積膜厚は5・mとした。スパッタリングターゲットには,100mm・のSiO2ターゲット上にSiチップを載せたものを用いた。このSiチップの量によって堆積膜の組成を制御した。堆積したSiOx薄膜を島状に微細加工するために,電子ビーム描画装置によりパターニングを行った。パターンは直径0.5〜20・mの円形とし,リフトオフによってCrマスクパターンを試料上に残した。エッチングには,CF4ガスによる反応性イオンエッチングを用いた。ウェットエッチングによるCrマスク除去の後,走査型電子顕微鏡にて観察を行い,形成されたパターンを確認した。した。最後に,赤外線ゴールドイメージ炉を用い,微細加工により基板上に島状に残したSiOxに対し軟化点温度付近(1200〜1800℃)で加熱処理を行った。試料セルはモリブデン製を用い,熱処理雰囲気は酸化防止のためにアルゴンガスフロー中とした。熱処理条件は,1600℃において2分間が最適であることが分かり,この条件により,エッチング後の円柱形パターンの形状を半球形に変化させることに成功した。しかしながら,光学的な測定結果を得るまでには至らなかった。
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