研究概要 |
現行のハードディスク装置に用いられているグラニュラ媒体の代わりにパターン媒体を用いて超高密度ハードディスク装置を実現するために必要な信号処理方式としてPRML方式や繰り返し復号方式の検討を行った。 1.計算機シミュレーションによるPRML方式の性能評価 パターン媒体をHDDに適用した場合を想定して信号処理方式の評価を効率的に行うために,計算機クラスタを構築した。また,非磁性領域から磁性領域へステップ状に遷移する孤立再生波形を用いて記録再生系モデルの検討を行った。PR1方式,ダイコードチャネル,FRチャネルを一次等化方式として採用してGeneralized PR (GPR)チャネルを構成し,Viterbi復号を加えた3種類のGPRML方式について,ビット誤り率と復号誤りについて検討した結果,FRチャネルを一次等化としたGPR-FRML方式が良好な誤り率特性を示した。また,記録時に単一パリティ検査符号を施して記録再生し,PRML方式の後段にポストプロセッサを設置することが有効であることが明らかとなった。 2.複数トラックを一括再生するためのアイランド記録部の配置の検討 アイランドをトラックごとにビット間隔の1/2だけずらして配置させることで,PRMLチャネルを構成しやすくなり,わずかな性能劣化で2トラック一括再生を実現できることが明らかとなった。 3.LDPC符号化・繰り返し復号方式の適用 パターン媒体を用いた垂直磁気記録再生系にLDPC符号を適用し,APP復号とSum-product復号による繰り返し復号の検討を行った。その結果,良好な誤り率特性が得られることが明らかとなった。また,APP復号への繰り返し,およびSum-product復号器中での繰り返しにおいて信頼度が緩やかに向上するように重みをかけることによって復号特性が改善することが明らかとなった。
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