研究概要 |
1.研究の対象 大電流(数A以上)用の電気接点は,接点開離時に電極の一部に電流が集中し,溶融し、電極間アーク放電が発生する。その結果、接点電極の損傷,磨耗,酸化,変形などが不可避である。このアーク放電現象の抑制方法を提案し、MEMS技術と組み合わせた電気接点デバイス超小化の基礎研究。 2.アーク放電抑圧のための過渡電流スイッチ回路を提案 電気接点開離機能を、通電電流遮断と電源電圧隔離機能を分離する構成を提案。最小アーク放電電圧以下で電流遮断し、最小アーク放電電流流以下で電源隔離する方法。具体的には通電スイッチに並列に過渡電流スイッチとコンデンサを接続する方法と、通電スイッチ開離時の電流を多数個の抵抗を過渡電流スイッチに分流する方法。 3.過渡電流スイッチ回路の効果とMEMS技術への適用可能性を確認 (1)過渡電流スイッチ回路の動作を実験と等価回路解析で確認した。負荷回路の誘導性によらないのが特長。 (2)多数個の素子を並置し、精確な機械動作の時間制御の超小形化にMEMSを適用し可能性を確認。 (3)100μφ金電極で42V/0.97Aの無放電で電流遮断動作を確認した。 4.研究成果 (1)接点開離時のアーク放電を過渡電流スイッチ回路で抑制できる設計条件を確立できた。 (2)電気開閉接点の超小型化の可能性を示し、MEMS技術と組み合わせた基本的な構成を示した。 5.今後の研究の展開方向 (1)過渡電流スイッチ回路適用下の開離時金属溶融現象を弾性振動解析で明らかにできたので、開閉アクチエータの超小型化の可能性を追求する。 (2)MEMSデバイスへの適用と同時に、従来デバイスの小型化、高信頼化に研究成果の適用を試みたい。
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