研究概要 |
1.ウェーヴレット変換を用いたオンライン署名照合において,移動角度や移動加速度,移動ベクトルパラメータを定義し,照合性能の検証を行った.また,それらを融合させる方法についても検討を行った.特に,融合する際のそれぞれの最適閾値の変動が署名の複雑性と関係があることを見いだし,それを用いた閾値補正法を提案した.結果として,照合率99.0%を達成した. 2.音声のピッチ情報を用いた照合について検討を行った.テキスト独立型の場合に照合率は74.3%であった.また,ケプストラムによる音声照合についても検討し,照合率が88.5%に向上することを確認した.さらに,周囲雑音が問題となるため,雑音除去に関する研究も行った. 3.オンライン署名と音声によるマルチモーダル・バイオメトリクスについて検討を行った.融合方法としては,アブストラクトレベルでの直列方式(論理積),並列方式(論理和),スコアレベルでの重み付き加算を評価した.重み付け加算において97.5%の照合率を実現した.また,それぞれのモーダルでの最適閾値でなく,お互いの閾値を調整することで最終的な照合率が改善できることを確認した. 4.携帯型情報端末での実現を評価するため,Windows Mobileを搭載した携帯型情報端末と包括的な開発環境が提供されるVisual Studio 2005を入手し,ソフトウェア実装を試みた. 5.FPGAによるLSI化を試みた.開発環境としては,セロックシカ社FPGAボード:RC10を用いた.これにはザイリンクス社のFPGA Spatan3(15万ゲート)が搭載されており,C言語ベースで設計が可能である.今回は,音声ピッチ照合で核となる自己相関関数の処理部分について実装を試みた.
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