研究概要 |
カリウム原子による光ポンピング磁力計の試作を行い、その基本的な特性を調べた.バッファガスとしてヘリウム(80kPa)を封入したセルの吸収スペクトルの中心は,770.107nmであった.吸収線幅はFWHMで0.02nmであった.さらにクエンチ用の窒素を加えたセル(He 80kPa ; N_2 4kPa)の吸収線幅はFWHMで0.055nmに増加した.ポンプビームの波長を,吸収波長に一致させ、プローブビームの波長を,吸収波長から少なくとも0.1nm以上シフトすると感度が高かった. ポンプビームは少なくとも10mW以上必要である。ポンプビーム,プローブビームともに,レーザーパワーに対する信号強度の関係は飽和傾向にあるが、ハイパワーにすれば,信号強度は上昇する. ポンプビームのヘリシティを逆転すると,プローブビームの偏光も逆転した. セル温度は170℃で約50%の信号強度が得られ,190℃から飽和し始める. 交流磁場信号に対する応答(周波数5kHz)では,閉ループ制御を使わなくても,1pT〜100nTまでの5桁におよぶ広い範囲で良好な線形性が得られた. また,画像計測に関しては,グラントムソンフィルターを介してCCDカメラで観察した.ポンプビームをコリメータレンズで拡大するとパワー密度が減少し,低磁場では十分な感度が得られなかった.また,画像の変化が複雑であり入力磁場と画像の関係はまだ整理できていない.また,空間で振幅変調を受けた波面をホログラムの計算によって復元するプログラムを作成した.磁場によって変調を受けたプローブ光を干渉させたホログラムから,磁場分布を再現する基礎を築いた.
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