研究概要 |
本研究は,シリコンウエハを測定対象として,プロセス中で直接ウエハの温度を測定する,いわゆるinsitu温度計測手法とそれをシステム化することを目的とした研究である.下記の3つ研究課題を中心に進めた. 1.ハイブリッド型表面温度センサの開発. 接触式と非接触式温度センサの長所を取り込んだ表面温度センサを開発した.過渡応答を利用して,高温(900K以上)域において,1秒以内で±1Kの精度で測温できる.このセンサは半導体プロセスに1おけるinsituキャリブレーション用センサとして有望であり,今後実用化へ向けた研究開発が急務となった. 2.偏光輝度比を利用した放射率補正測温法(放射率と温度の同時計測法)の開発. シリコンウエハの偏光輝度比からp一偏光放射率(またはs一偏光放射率)とウエハ温度を同時計測できる手法を見出した.今後は,真空中でのプロセスなどを想定して,その有効性を上記ハイブリッド型表面温度センサとの組み合わせで展開する. 3.Emissivity-invariantcondition(放射率不変条件)の展開. シリコンウエハ(抵抗率1Ωcm)に対して,ウエハ上に生成する酸化膜厚によらずp一偏光放射率がある一定の角度で一致する現象を見出した.この現象がウエハの種類(抵抗率の違い),酸化膜厚,温度などによってどのような挙動を示すのか,詳細に調べていくとが今後の課題である.この場合も上記ハイブリッド型表面温度センサが実験を精度よく実施するために不可欠であり,システム化が重要である. 以上の研究課題の追求に並行して高温下での石英,サファイアロッドなどの偏光温度特性を調べた.実験によれば,900Kまでは両ロッド材料とも常温とほぼ同様な偏光特性を維持することがわかった.この結果は今後insitu測定に向けた研究において重要になる. 以上の研究成果に対し,インパクトファクタの高い国際学術誌へ2編の論文が掲載され,国際会議発表に8編,国内学会発表を17編行った.また,1件の特許出願を行った.
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