配分額 *注記 |
4,090千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
近年,手術による患者の負担を軽減するため,覚醒が早く副作用が少ない麻酔薬が開発され使用されている.麻酔薬には静脈麻酔薬と吸入麻酔薬があるが,吸入麻酔薬の投与速度は呼気中麻酔薬濃度に基づいて調整されるのが一般的である.本研究では,より患者の負担が小さく望ましい麻酔状態を実現することを目的として,吸入麻酔薬に関しても鎮静度指標Bispectral Indexに基づいて投与速度を調整するシステムの検討を行った.具体的には,とくに最近よく行われる静脈麻酔薬と吸入麻酔薬を併用する麻酔法において鎮静度を適切に制御するために,(1)麻酔薬の相互作用を表せるモデルの検討,(2)鎮静度制御法と各患者のパラメータ同定法の検討,および(3)吸入麻酔薬投与速度調整機構の試作を行った.その結果は以下のとおりである. (1)静脈麻酔薬プロポフォールと吸入麻酔薬セボフルランを併用した場合の相互作用を適切に表せる新たな薬力学モデルを提案した.このモデルでは,相互作用を表すための追加パラメータを必要としない.また適切にパラメータを設定すれば患者の測定データとほぼ一致することが確認できた. (2)麻酔薬の効果が現れるまでのむだ時間と吸入麻酔薬濃度の設定値に上下限があることを考慮して,モデル予測制御法を用いた麻酔薬併用時の鎮静度制御法を構成した.麻酔導入は速やかに行う必要があるため麻酔医が通常どおりの方法で行うこととし,導入後自動制御を行うこととした.また,導入時の鎮静度変化に基づく各患者の薬力学モデルパラメータとむだ時間の同定機能を開発した.構成した鎮静度制御システムにより,ある程度のモデル化誤差がある場合でもほぼ適切に制御を行えることを確認した. (3)麻酔薬調整のための医師の操作と両立できる吸入麻酔薬投与速度調整機構を作成し,臨床応用の際に十分な速度で麻酔薬濃度を調整できることを確認した.
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