研究概要 |
腕の自由がきかない運動障害者に対して介助が必要なもののひとつに食事がある.自分自身で食事ができない高齢者や運動障害者が食事を行う際には,介護者が本人の希望を聞いて,食べたいものを口元に運んで食べさせる.このように介護者が患者に食事を食べさせるには,患者ひとりに介護者ひとりがつきっきりとなる.また,患者の立場からは,介護者に食べたいものや分量を伝える必要があり,自分の思ったような食事はしにくい.そこで,患者が介護者の手助けを借りることなく食事を行なえることが望ましい.本研究では,患者自らの腕を用いて食事を行うことができる食事動作支援ロボットを開発した. 食事動作支援ロボットはヒトの腕をアームが支えて食事を行わせるため,安全性を配慮して,運動障害者に食事動作支援装具が無理な力を加えることのないような制御法を提案した.また,食事動作支援ロボットを利用する際には,食事を摂る前に,スプーン先端位置と食事の皿の位置の相対関係を検知する必要がある.さらに,利用者が食べたい皿を注視することで意志を判定する眼電図を用いたヒトの意志抽出において,眼電図は利用者毎に,また同一の利用者でも利用者の状態によって波形がる異なるため,閾値を調整する必要がある.そこで,画像情報を用いて皿の中にあるスプーンですくうべき食事の位置および利用者の口の位置を検出する位置キャリブレーションのアルゴリズム開発と,眼電図の閾値を調整する眼電図キャリブレーションの自動化アルゴリズムの開発を行った.
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