研究概要 |
防災科学技術研究所のKiK-netにおいては,全国の約700箇所の地点で,地表および地中の地盤震動の同時観測が実施されており,その記録は地盤の動特性の同定などに用いられている.しかしそれらデータを地盤同定に用いる際,データの読み込み,埋設方位ずれの補正,震央直角方向成分の合成,地盤データの読み込み等,前もって準備することが多くある.また,初期値の設定の仕方も重要でありそのための工夫も必要となる.これらの準備は煩雑であり,種々の条件で多くの解析を行う妨げになる.そこで,一連の作業をExcel Macroを用いてシステム化し,簡単な操作ですべての計算がなされるようなシステムを構築した.また,同システムにおいては,感度の低い周波数帯の減衰パラメータを掃き出し,有意な感度を持つ周波数帯について,これを同定するための新たなアプローチを導入している. 独立行政法人防災科学技術研究所の地震計ネットワーク(KiK-net)を用いて,最深部のセンサーの設置深さが115m以下で地表最大加速度が100gal以下かつ,観測点に比較的近い震央をもちM6.0以上の6地震,35地点の合計61ケースついて解析した.その結果,一部を除き,異なる地震による同じ地点の同定結果の対応性がよいことを示した,また,推定されたQ値(減衰パラメータ)の90%以上が15以下の値で85%以上が10以下の値となっており,KiK-netは比較的硬質な地盤に地震計が設置されているにもかかわらず,沖積平野等,比較的軟弱な表層地盤のQ値とそれほど大きな違いがないという結果になった.
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