研究概要 |
流動化処理土はセメント安定処理土と同様に固化材添加量を増やして強度を上げると,脆性的な挙動を示し耐震性能の低下が生じる恐れがある。また,強度の増加は再掘削が必要な箇所への適用を困難にさせる等の指摘がなされている。したがって,種々の土構造物に適用可能で地震に対して粘り強く耐え得るような地盤材料とするためには,流動化処理土の靭性能を向上させることが望まれている。 本研究では,流動化処理土の耐震性向上のために,粉砕した古紙を添加した繊維質材混合流動化処理土に対して,三軸圧縮試験での単調載荷中に微小な除荷・再載荷を行い,せん断時の微小ひずみにおける弾性的挙動の変化を繊維質材料の添加量ごとに比較検討するとともに,補強効果および三軸せん断に伴う損傷特性に及ぼす拘束圧の影響や定量的な靭性評価について検討した結果,以下に示す知見が得られた。 1.繊維質材添加による流動化処理土の変形特性に及ぼす影響は,養生日数が増加するにつれ顕著に現れる。 2.繊維質材は流動化処理土のせん断によるセメンテーションの損傷を妨げ,補強効果を発揮することが確認できた。また,その効果は添加量が大きくなるにつれ増加する傾向にある。 3.物理的な意味合いを持たせた定量的な靭性の評価法を適用することにより,せん断の進行に伴う靭性の変化を評価することが可能である。 4.本試験の範囲内では,流動化処理土の靭性能は繊維質材を添加するほど向上し,添加量15,20kg/m^3のケースにおいては収束傾向を示す。
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