研究概要 |
気泡混合軽量土地盤の実施工中および実施工後に発生した問題点を取りまとめるとともに,気泡混合軽量土地盤構築における設計と施工結果との対応性を現地調査により把握し,現設計手法の妥当性を検討した. まず,気泡混合軽量土の強度変形特性に及ぼす高温履歴の影響を明らかにするために,種々の初期養生温度を受けた気泡混合軽量土に対して力学試験を実施し,初期に80℃以上の高温履歴を受けることによってその一軸圧縮強さが著しく低下することを示唆した.また,高温履歴を受けた気泡混合軽量土の応力-ひずみ関係を2つの双曲線によりモデル化し,高い精度でシミュレートできることも示した. また,石炭灰やPETフレークを混入した気泡混合軽量土の力学的特性を明らかにするために,それら産業廃棄物を種々の添加率で混入した気泡混合軽量土に対して力学試験を実施し,石炭灰やPETフレークを混入することによって気泡混合軽量土の強度・変形特性を改善できることを明らかにした.さらに,実施工中に認められた高温履歴が産業廃棄物を添加した気泡混合軽量土の力学的特性に及ぼす影響について明らかにし,産業廃棄物を添加することによってした高温履歴に伴う強度低下を軽減できる可能性を実証した.このような強度低下メカニズムを解明するために,その内部構造をデジタルファインスコープによって観察し,養生初期に高温履歴を受けた気泡混合軽量土はマトリクス構造が破壊されていることを明らかにした. 一方,凍結融解作用が気泡混合軽量土の力学的特性に及ぼす影響についても検討しており,気泡混合軽量土および産業廃棄物を添加した気泡混合軽量土の一軸圧縮強さは,一般の土と比較して凍結融解作用の影響が小さいことが明らかとなった.このことから,気泡混合軽量土が寒冷地や高所山岳地域のような凍結融解作用の影響を受ける地域においても適用可能であることを示している.
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