研究概要 |
地盤の液状化に伴なうマンホールの浮き上がりについて,その被害要因,メカニズムを明らかにし,被害予測と対策工法を検討するため,2003年十勝沖地震,2004年新潟県中越地震を中心に,マンホール浮き上がり被害の実態調査と地盤調査を実施してきた。その結果,埋設深度が同程度のマンホールの地震時の浮き上がり量は,周辺地盤でも一様に液状化が生じる砂地盤に埋設されたものより,軟弱地盤内に埋設されたマンホールや管路のほうが大きいことが明かになり,これまでの液状化被害予測等と大きく異なる結果となった。 そうしたマンホールの敷設環境・敷設条件を,模型地盤内で再現し,同時加振による振動台実験結果の比較から,埋戻し土の液状化によるマンホールの浮き上がりは,(1)埋戻し土の液状化の発生そのものがトリガーとなり,マンホール側面の土粒子が底部に廻り込むことによって増大すること,(2)廻り込みは周辺地盤が粘性土のような完全な液状化に至らない軟弱地盤のほうが,埋戻し領域内で土粒子の廻り込みが大きくなり浮き上がり量も顕著に大きくなることを実験的に証明し,その浮き上がり量の上界値も得ることができた。 一方,浮き上がり対策については,幾つかの方法が既に提案・実施されているが,費用対効果が悪く,敷設替えや改修が頻繁に行われる上・下水道などでは合理的な対策とは言えない。そうしたマンホールに対して本研究で明らかにした浮き上がりメカニズムをもとに,簡易な対策方法について検討し,効果が確認された。
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