研究概要 |
まず,硫黄の酸化還元細菌を活用した処理方式の利点を整理するとともに,室内実験結果をとりまとめ,嫌気・無酸素・好気法の脱窒槽における硫黄の蓄積について明らかにした。さらに,染色工場の嫌気・好気生物ろ過装置の実験データをとりまとめ,処理槽内の微生物文集について明らかにした。 次に,旋回流式嫌気好気生物ろ過装置を作成し,金沢市A水質管理センター内に設置し連続運転を行った。装置は内径600mm,高さ1800mmのアクリル樹脂製の円筒カラムからなり,可動式のパンチングプレートで3層に仕切りそれぞれ形状の異なる炭素繊維担体を充填した。排水は下層部から定量ポンプによって流入し,下層部および中層部は曝気を行わない嫌気条件とした。上層部には散気装置によってエアレーションを行うとともに,微細気泡を循環によって供給し装置内に上向きの旋回流を形成する構造とした。まず,水道水を用いて通水試験を行った結果,上層部の好気槽内に良好な旋回流が形成されることが確認できた。次に,返送汚泥を種汚泥として投入し,最初沈殿池流出水を通水して運転を開始した。定期的な水質分析の結果,滞留時間10時間程度で,活性汚泥処理と同程度の有機物除去率が得られた。各槽の水質分析を行った結果,下層部の嫌気槽で硫酸塩還元に伴う有機物の分解が,中層部でリン除去が,上層部の好気槽では硫黄酸化と硝化が進行することが確認できた。また,好気槽に硫化物が持ち込まれると硝化が抑制されることから,循環率が重要であることが明らかとなった。消化率は80%程度を達成できた。途中,マイクロバブル供給装置のトラブルと水温の低下によって,硝化が抑制されたが,3月より装置の改善によって,硝化が進行し,脱窒率が向上した。槽内に充填した担体表面には良好な生物膜が形成されていることが確認できた。
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