研究概要 |
設計基準強度が120N/mm^2を超える高強度コンクリートは,結合材としてボルトランドセメントだけでなく,シリカフュームなどの無機粉末を混和材として添加し,水結合材比が25〜15%の低水結合材比コンクリートとなる。コンクリートは,一般に初期材齢で高温履歴を受けると初期強度の発現は大きいが,長期強度の発現は停滞し,やがて高温履歴を受けていない標準養生したコンクリートの圧縮強度に追い越される。しかし,水結合材比が20%以下の低水結合材比コンクリートは,初期材齢に高温履歴を受けると著しく大きな強度発現を示し,長期材齢においても高温履歴を受けていない標準養生したコンクリートの圧縮強度は追いつかないという状況が生じることが指摘された。 本研究は,このような設計基準強度が120N/mm^2を超える,シリカフュームを用いた水結合材比が20%以下の低水結合材比コンクリートの強度発現のメカニズムを明らかにすることを目的とする。本研究の結果,以下のことが明らかになった。 (1)水結合材比が17%を下回り,最高温度が60℃を超える初期高温履歴を受けたコンクリートの圧縮強度は,材齢91日において標準養生した供試体の圧縮強度を上回ることが確認できた。 (2)水結合材比が17%で,最高温度が60℃の初期高温履歴を受けたコンクリートのマトリクス部分を構成するモルタルは,その細孔径分布,結合水量,水酸化カルシウム消費量は,初期高温履歴を受けていない場合の材齢91日の値とほぼ同じであった。
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