研究概要 |
セメント量を減らさずに粉体を外割で混合するため混合量の増大とともにコンクリートの強度や耐久性が向上する方法を適用したコンクリート(以下外割コンクリート)の用法を検討し,以下を確認した。なお,これらを実験室実験のみではなく実機生コンクリート工場で練り混ぜ,実大模擬試験体により実証を行った。 1)マスコンクリート:石炭灰を外割混合したコンクリートは,無混合の場合よりも強度が高くなるにもかかわらず温度上昇を抑制できることを実験室実験および実大実験により確認した。とくに実大実験では1.0m角の試験体を打設し,熱電対を用いて中心から表面にかけての温度分布及びその経時変化を測定して検証を行った。 2)高流動コンクリート:石炭灰を外割大量混合した高流動コンクリートが,高い流動性,ハンドリングの良さ,型枠への良好な充填性を示すことを実大施工実験で確認した。また,脱型後の表面が緻密で美しく,暴露後の汚れも少ないことを実大試験体で確認した。また,長期にわたり良好な強度発現を示すことや,収縮が小さいことを実験室実験および実大実験で検証した。 3)高強度コンクリート:石炭灰や,石灰石粉,砕石分などの種々の非反応性無機粉体を外割混合したコンクリートの強度が,混合量の増大とともに高くなることを確認した。また,その強度発現は,これらの粉体の混合により,硬化体中の空隙の総量は変わらないものの,50nm以上の粗大な空隙が減少することにより生じることを定量的に確認した。 4)アルカリシリカ反応抑制効果:同コンクリートがアルカリシリカ反応抑制効果を有することを、種々の骨材、フライアッシュを始めとする種々の粉体において広範囲に検証した。 5)再生骨材:コンクリート構造物の解体に伴って発生する廃コンクリートがらを外割コンクリートの骨材として用い、その緻密なマトリクスの効果で耐久性の低下が抑制できることを検証した。
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