研究概要 |
平成17年度〜平成19年度に渡る研究の結果,研究の目的として掲げた3つの研究目的(1.RC部材の損傷評価手法の確立,2.RC部材の構造性能評価に関する数値解析手法の開発,3.補修・補強材料に関する実験/解析的検証)に対して以下の成果を得た。 1.RC造柱の鉛直荷重崩壊実験を実施して,柱の崩壊過程をデジタル画像で記録するとともに,画像処理によってひび割れ幅や変形量を計測した。これにより,ひび割れ幅と変形の関係を対応付けることができた。さらに,実験結果に基づいて,ひび割れ幅からRC造柱の残存耐震性能を評価する手法を構築した。これにより,柱の残留ひび割れ幅を計測すれば,残留変形と最大変形を推定することが可能となり,残余耐震性能を容易に評価することができる。ただし,せん断破壊する柱部材に関しては今後の検討が必要である。 2.偏心によるねじれの影響に関する検討も含めて,各種部材を対象とした非線形3次元FEM解析を実施し,構造性能を評価可能な数値解析モデルを構築した。さらに,非構造部材の影響やねじれの影響の検討も含めて,部材の構造性能が構造物全体の挙動に及ぼす影響についても検討を行った。 3.補修・補強材料としてグラウトを取り上げ,力学特性を実験的に検証した。また,鉄骨ブレース補強工法を想定し,耐震補強接合部を模した供試体を作成して,コンクリート-グラウト間およびグラウト-鉄骨間のせん断すべり挙動を実験的に確認した。さらに,実験結果に基づいて数値解析モデルを構築した。
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