研究概要 |
省人化・省力化および高耐震性を目指して,鉄骨鉄筋コンクリートより,主筋および横補強筋を省き,十字鉄骨のみをコンクリートに内蔵させ,コンクリートを薄肉鋼管で拘束した柱材の弾塑性性状について調べた.平成17年度は2H-160×80×4.5×6の内蔵鉄骨を用いた柱材の実験を行ったが,平成18年度は,鉄骨の曲げ耐力が小さい場合の合成柱材の挙動を調べるために,2H-160×80×2.3×2.3を用いた柱材の実験とスタブカラムの中心圧縮実験を行った. 柱材の試験体を計15体製作し載荷実験を行った.断面は200mm×200mmで材長が800mm(せん断スパン比2)である.横補強鋼管は材長方向の応力に抵抗しないように柱頭および柱脚部に10mmずつの隙間を設けている.実験変数には,内蔵鉄骨の形状(十字鉄骨と単一H形鋼を強軸配置したものの2種類),横補強鋼管の幅厚比(125,87の2種類)と軸力比(断面の圧縮耐力に対する作用軸力の比として0.4および0.6の2種類)を選んだ.載荷実験を行った結果,以下の点を明らかとした.1)曲げ耐力が小さい内蔵鉄骨を挿入しても,軸力比が0.4程度の軸力では,不安定現象は生じず優れた耐震性能を示す.2)曲げ耐力が大きな十字鉄骨を内蔵鉄骨として挿入することにより軸力比が0.6程度でも崩壊せず安定した挙動を示した.3)幅厚比が125の鋼管で横補強することにより,柱材は優れた構造性能を発揮できる.4)十字鉄骨を挿入することと幅厚比125の鋼管で横補強することにより,コンクリートは十分な横拘束効果が期待できる. 以上のことより,本研究で対象とした鋼・コンクリート柱材は省人化・省力化および高耐震性をすべて満足できる柱材であることを示した.
|