研究課題/領域番号 |
17560541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
阿部 成治 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (50044566)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 住民参加 / 土地利用計画 / 計画策定 / ドイツ / Fプラン |
研究概要 |
1.新Fプラン策定にあたり、ドルトムント市は、法的に義務づけられているレベルをはるかに越えて参加に努力した。とくに、宅地化の検討状況を早期に公表したことは、その後の議論を活性化した。早期参加、縦覧、再縦覧で多数の意見が提出されたことは、その成果でもある。 2.早期参加と縦覧に対して提出された市民の意見のうち、かなりの数が採用され、また趣旨を汲み取られて、Fプランが策定されている。まちづくりでは、「参加の機会がある」ことに加え、市民の意見が実際に汲み取られ、生かされていくことが重要である。 3.縦覧時の意見は、早期参加の際に提出できたはずの意見も多く、早期参加後の修正を原案に戻すよう求める意見もあった。したがって、参加の機会が複数回あることは、見落としや修正漏れを防ぎ、修正を再考する機会として意味が大きい。複数回の参加で行政の負担は大きくなるが、早期参加の際の比較的簡単な見解で意見再提出を断念している例が多いので、行政が意見を検討する負担を質的に軽減している面もある。 4.市民から提出された意見には、Fプラン段階の意見として不適切な例がかなりある一方で、市民に支えられるドイツ環境自然保護連盟などのNPOが重要な役割を果たしている。専門性が高い行政への市民参加では、市民の意見を代弁し、援助・協力を行うNPOの存在が重要である。 5.Fプランが単独で土地利用を計画しているのではなく、Lプランを初めとするさまざまな分野やレベルにおけるプランが、Fプランへの負担を軽減している。Fプランには一般的な拘束力はなく、細部はBプランなどの拘束力のある計画や、実際の建築許可に委ねている点も、Fプランの負担を軽減している。また、今回ドルトムントが採用した表示の一般化は、プラン策定の負担を減らし、作業の迅速化に貢献した。 6.Fプランの決定権限は市議会にあるので、行政も、スムーズな決定を目ざし、早い段階で政治家と接触できる揚を設定している。政治家が調整力を発揮したのは縦覧後の段階で、この部分では議会の勢力関係がFプランを左右していた。単なる公共性の有無でなく、関係する公的・私的な利害が比較検討されていることがわかった。
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