研究概要 |
我々は複雑構造物質群の中で比較的原子数が少ない系として単位胞に52個の原子を含むCu_5Zn_8及びCu_9Al_4ガンマ相を選び、第一原理バンド計算(Full-potential Linearized Augmented Plane Wave 略して FLAPW)を実行し、このような複雑な構造が特定の電子濃度e/a=21/13で安定化する機構を明らかにして来た。 本プロジェクトでは、以下の成果を挙げた。 (1)平成17年度には、TM_2Zn_<11>(TM=Ni,Pd,Co,Fe)系ガンマ相合金の作成、SPring-8放射光を用いた精密構造解析を実施後、その構造に基づいて第一原理バンド計算を行い,これらの複雑構造物質の相安定化機構を解明した。 (2)平成18年度には、Al_8V_5ガンマ相の作成、SPring-8放射光を用いた精密構造解析を実施後、その構造に基づいて第一原理バンド計算を行い,この複雑構造物質の安定化機構を解明した。 (3)平成19年度には、Ag_5Li_8ガンマ相合金の作成、SPring-8放射光を用いた精密構造解析を実施後、その構造に基づいて第一原理バンド計算を行い,この複雑構造物質の安定化機構を解明した。 3年間の成果として,複雑構造が同じでも合金系の個性に応じてその安定化機構が異なることを明らかにし、Hume-Rothery電子濃度則が普遍的に成り立つというこれまでの暗黙の了解が誤りであることを示した。
|