研究概要 |
1.スリットと測定法を工夫することにより固定ターゲットのX線管を持つ一般的なX線回折装置でX線反射率(XRR)を得ることができた。さらに密度、膜厚、表面粗さの精度について調査した。その結果、密度の精度は(100)Siと比較したところ0.3%の誤差であった。膜厚はエリプソメトリー法と比較たところ10%以内であった。表面粗さは原子間力顕微鏡法により確認したところ差は10%程度であった。しかし測定試料に制限があり、表面粗さが5nm以下でなければならないことがわかった。XRR法は他の密度、膜厚、表面粗さ測定法と比較して極めて優れている方法であることがわかった。 2.電解析出の場合,印加電圧が大きくなるにしたがって炭素膜の屈折率および膜の密度は低下した。また,析出基板-対極間距離(D)が1.0mmの場合の方が0.5mmで合成した膜よりも密度および膜の屈折率が高かった。炭素膜の屈折率は,膜の密度が高くなると高くなったが,その挙動は単調ではなかった。これは,印加電圧の上昇に伴い膜の表面が荒れ屈折率が低下するとかんがえられる。したがって,膜の屈折率は膜の粗さもパラメータとして考慮する必要があり,膜の密度のみに屈折率が依存しないことがわかった。
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