研究概要 |
僅かな紫外線でも有効に機能する光触媒を開発するため,組成制御され,微粒子ではあるが結晶性の高い酸化チタン光触媒の水熱法による低温かつ直接的な合成を目指した.具体的には,ジルコニウム,スカンジウム,ニオブ,およびニオブとアルミニウム,ニオブとスカンジウムを共ドープしたアナターゼ型酸化チタン,およびSiO_2とアナターゼ型酸化チタンとの複合微粒子を水溶液プロセスにて直接合成し,光触媒能と吸着能とのハイブリッド化を試み,その結晶構造,微細構造,光触媒能,相安定性などの性質を明らかにした.また触媒因子はニューラルネットワークによる解析を試み比較検討を行った.その結果、スカンジウムを固溶したアナターゼ型チタニアナノ粒子は,非晶質(オキシ硫酸チタンと硝酸スカンジウムにアンモニア水を加えて得られた共沈物)より180℃において水熱結晶化することが確かめられた.また,オキシ硫酸チタンおよび塩化ニオブの混合溶液から120℃〜180℃の弱塩基性の水熱条件下でNbをドープしたアナターゼ型TiO_2ナノ粒子が直接的に生成した.ニオブ固溶量が増えると暗室保持後のメチレンブルー濃度は下がり,メチレンブルー吸着量が増大し,UV照射後のメチレンブルー濃度の低下も著しい.メチレンブルーの分解速度定数より,ニオブ固溶量の増大とともにメチレンブルー分解能が高くなった.中でも7.5〜15mol%のニオブ固溶量のアナターゼ型酸化チタンがメチレンブルーの吸着量も多く,良好な光触媒能を示した.ニオブ(Nb)とアルミニウム(Al)あるいはニオブ(Nb)とスカンジウム(Sc)を固溶する新しいアナターゼ型酸化チタンの水熱法による直接的な合成およびその特性評価について検討した.その結果,Ti_<1-2x>Nb_xAl_xO_2あるいはTi_<1-2x>Nb_xSc_xO_2で表示さる組成においてXの値がX=0.20よりも低い組成では,水熱処理により得られた生成物の結晶相はいずれもアナターゼ型酸化チタンであり,純粋なアナターゼ型酸化チタンと比較し良好な光触媒能を示した。
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