研究概要 |
1.ダイヤモンドの高速合成 マイクロ波による液中プラズマ発生装置を用いてパラメーターを詳細に振って,ダイヤモンド合成実験を行った.アルコール水溶液濃度,基板温度,電磁波パワー,電磁波周波数,基板電極間距離,を変化させてダイヤモンド結晶合成条件の最適化を行った.圧力とプラズマ消費電力の値を大きく上げることで,気相プラズマCVD法によるダイヤモンド合成速度をはるかにしのぐ合成速度を達成した.マイクロ波の効率的な導入を実現し,直径6mmの電極を用いて,800hPaのメタノール溶液中に300Wの2.45GHzマイクロ波を導入することによって,シリコンウエハー基板上の直径5mmの領域に10分間で33μm厚のダイヤモンド膜を合成することができた.合成速度は200μmであった.本成果は,特許に申請された. 2.SiC合成条件の最適化 シリコンオイルに同等量の炭化水素を混合することで,酸素が炭化水素の炭素と水素によって引き抜かれる反応が起こって,結晶性の良いSiC結晶が合成された.遊離炭素としてグラファイトの結晶もSiCと同時に析出した.化学反応で生成された酸素も形成物に取り込まれた.成膜と同時にプラズマ発光分析を行った.メタンガスが水とプラズマ中で水蒸気改質反応を起こし,強力な還元作用をもつ水素ラジカルを発生するメカニズムを明らかにした. 3.AIN合成可能性試験 液中プラズマ反応法により,水にAlCl_3とNH_4Xを溶かして水溶液中プラズマを発生させ,AIN結晶の合成の可能性を調べた.種々の可能性実験を行い,Al_20_3の形成は見られたが,AINの形成は,実現できなかった.AINの液中プラズマ合成のためには,プラズマ中でAl原子とN原子がいかに近接し結合するかが重要であることがわかった.
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