研究概要 |
摩擦肉盛技術を利用して板材を高機能化のために板材表面にアルミナ粒子分散型アルミニウム合金複旨合材料を用いて摩擦肉盛する方法と,摩擦肉盛過程で高硬度粒子を肉盛層内に分散させる方法について検討した。その結果,5052アルミニウム合金板に粒子分散型アルミニウム合金複合材料を摩擦肉盛することにより耐摩耗性の高い肉盛層を板材表面に創成し,母材に比較して高い耐摩耗性を持っ肉盛材が得られた。また,金属基複合材料を用いないで板材表面に粒子分散型複合材料と類似の機能を得ることを目的に,アルミニウム合金丸棒に穴加工を行い,加工した穴にアルミナ粒子を充填して摩擦肉盛を行うことで板材表面に高硬度のアルミナ粒子が分散した肉盛層を得ることが可能となり,板材の耐摩耗性の向上に本方法が有効であることが明かとなった。 摩擦撹拌接合技術による板材の高機能化については,摩擦撹拌接合時の撹搾作用による結晶粒の微細化に着目し,摩擦撹拌プロセスによる結晶粒微細化の効果を確認するとともに,摩擦撹拌プロセスの施工時に板材内部に高硬度粒子の分散をすることを目的として,板材に溝加工を行いアルミナ粒子を充填し,摩擦撹拌を行うことにより板材中に高硬度粒子の分散を試みた。その結果,摩擦撹拌プロセスにより板材中に高硬度粒子の分散は可能であるが,使用する回転工具の形状により板材中のアルミナ粒子の分布状態が異なり,一般に多く使用されているねじ状のプローブを持つ回転工具を用いた場合が分散状況は最も良いが,板材表面のアルミナ粒子の分散量が少ない。テーパー状のプローブを持つ回転工具を用いると,アルミナ粒子の分散量はねじ状のプローブに比較して若干少ないが,板材表面に比較的多く均一に分散することが明かになった。
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