研究概要 |
燃料電池のセパレータ等において,軽量・高電気伝導度・高耐食性に優れる炭素材料(等方性高密度黒鉛,樹脂含浸黒鉛,ガラス状カーボン複合材)が適しているが,その実用接合技術の開発が追随していない。これまでに,平成13年度〜15年度の科研費研究「通電加圧による炭素材料の樹脂焼成接合」を実施し,母材強度に達する高強度継手を得ているが,接合方式がバッチ方式となるため,自動車用燃料電池のセパレータの接合製作を例に取ると多量生産となるため,実用性に劣る(他の少量大型機器の接合に適用予定)。 提案接合法は,炭素材料表面にCu-Ag-Tiをメタライジングした後,Cu, Snめっきし,63%Sn-37%Pbはんだで大気中はんだ付する方法である。大気中はんだ付のため,連続接合が可能となり多量生産が可能となる。接合試験は平成17年度に等方性高密度黒鉛,平成18年度に樹脂含浸黒鉛とガラス状カーボン複合材について行ったが,試験結果を要約すると,以下の通りである。 (1)等方性高密度黒鉛の接合では,継手部にピット,ボイド等の欠陥は無く,健全な接合状態が得られた。継手強度はJISR1601の4点曲げ強度試験で評価したが,等方性高密度黒鉛中で破断し,該黒鉛の母材強度(86MPa)に達する優れた継手強度が得られた。 (2)樹脂含浸黒鉛では,等方性高密度黒鉛の場合と同様に健全な継手が得られると共に該黒鉛の母材強度(64MPa)の約80%に達する優れた継手強度が得られた。 (3)ガラス状カーボン複合材については,Cu-Ag-Tiメタライジング時に熱負荷により,複合材が層間剥離し,本法の適用が困難であることを検証した。 (4)平成17年度研究結果は,溶接学会平成17年度秋季全国大会で発表しているが,18年度研究は19年に発表予定である。
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