研究概要 |
本研究では,膜ろ過法によるナノマテリアルの分離精製,特にサイズ分離に不可欠な三要素技術について検討した.その結果,以下の成果が得られた. 1.耐ファウリング技術の開発1(耐ファウリング膜の開発) セラミック製管状膜を用いてリン脂質ポリマー処理膜を開発した.クロスフローろ過試験により,タンパク質やポリスチレンラテックス粒子に対する耐ファウリング性に優れていることが確認された.また.表面処理条件による細孔制御に関する知見も得られた.粒子混合系を利用した透過試験により,サイズ分離への適用可能性が示唆された. 2.耐ファウリング技術の開発2(ろ過装置の開発) 膜表面における粒子堆積層の形成を抑制するため,従来の平膜用振動ろ過装置の知見をもとに,セラミック製管状膜用振動ろ過装置の開発を行った.しかしながら,振動素子を管状膜内に挿入する装置構造のため,長時間のろ過では液漏れが問題となった.シール部の耐久性が今後の課題である. 3.ろ過条件が粒子の透過性に及ぼす影響の検討 直円筒状の細孔を持つポリカーボネート膜をモデル膜としてセレン化カドミウム(CdSe)粒子の透過性に対するろ過条件(圧力,細孔径,液性状)の影響を検討した.その結果,粒子の分散凝集性の影響が大きく,凝集性が高いCdSe粒子では透過性が非常に低いこと,また細孔の閉塞が起こりやすいことが明らかとなった.
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