研究課題
基盤研究(C)
水素脆化の抑制および水素透過能の向上を目的として、平板型多孔質アルミナ(平均細孔径0.06μm)を支持体として用い、超臨界電解めっき法によるPd-Ag合金薄膜の作製を試みた。導電性付与後の支持体に、PdCl_2(0.1mol/L)、AgNO_3(0.005mol/L)、KBr(4.0mol/L)、KNO_2(0.1mol/L)、H_3BO_3(0.49mol/L)、グリシン(0.1mol/L)からなるめっき浴、さらには界面活性剤を添加して、超臨界二酸化炭素存在下(12MPa)でめっきを行なった結果、PdとAgが共析することを見いだした。平均膜厚は約2.2μm、Ag含有量は20wt%で、熱処理後、ヘリウムリークのまったくない無欠陥のPd-Ag合金薄膜を作製できた。なお水素透過係数は673Kで3.0×10^<-9>molm^<-1>s^<-1>Pa^<-1/2>であり、純Pdを超える値が得られた。さらにこれを円筒型多孔質セラミック支持体上に製膜するために、新規なめっき反応器を設計した。その反応器を用いた結果、Pd/Ag=77/23wt%とほぼ所望の合金組成で、膜厚が1.5μmの緻密な薄膜を作製することに成功した。得られた薄膜の水素透過係数は、平板型支持体のときと比べて若干低下しており、細孔内部への金属析出などで水素透過抵抗が増加したと考えた。また、Pd-Ag合金薄膜にRuを添加したところ、723KにおいてPd-Ag合金薄膜の約1.2倍水素透過係数が向上した。この超臨界めっき技術をパラジウムの無電解めっきにも応用した。超臨界二酸化炭素の共存下であるため、酸性条件下でも使用可能なホスフィン酸塩、ホスホン酸塩およびトリメチルアミンを還元剤とするPdめっき浴に注目した。これらの水素脆化が生じる還元剤を使用したときにでも、超臨界条件下で実施することで水素脆化を起因とするクラックの発生が抑制できることが実証できた。
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