近年、日本は農産物の穀物及び豆類をほとんど輸入に頼っている。それら穀物及び豆類は含水材料であるため、海上輸送中の汗ぬれ損傷が問題となっている。防止策として使い捨ての吸水シートが市販されているものの、高コストを理由に利用率は極めて低い。 そこで、本研究では省エネルギーの観点より、再生可能な乾燥剤である各腫シリカゲルを用い、設置量や設置位置を検討することで低コストな汗ぬれ損傷の防止策を提案する。 結露防止のために用いられるシリカゲルは高価であるため、保険によって保障を得ることで危険回避が行われている。そのような観点からも、シリカゲル使用量の削減は実用面で、特にコストの観点から極めて重要な課題である。 汗ぬれ防止策として使用されるシリカゲルは物理吸着型シリカゲルを天井部に配置することで最も効率的な防止策になることをあきらかにした。また、高価なシリカゲル量を削減するために、積載物の表層をアルミニウムシートにて被覆することを検討した。積載物である大豆表屑をアルミニウムシートにて55%被覆するだけで、シリカゲルの使用量を10分の1に削減できることが明らかになった。シリカゲルの価格に比較して、アルミニウムシートの価格は廉価で殆ど無視し得ることから、汗ぬれ防止に係わるコストは20ftコンテナ1台あたりほぼ1万円程度になり、市販の最も廉価版使い捨ての吸水シートのコストに拮抗する。また、市販の吸水シートが使い捨てであるのに対して、使用するシリカゲルやアルミニウムシートは繰り返し使用が可能であり、省資源または環境保全の点からも注目に値する。 また、水蒸気の吸着・透過制御のため、高分子フィルムの表面処理を行い、結露防止策として用い得ることを示し、有望な防止策となると考察した。
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