研究概要 |
本研究の目的は,近接型AEダブレットに焦点を当て,地下き裂の動的な性質の評価方法を開発することである。本研究では,近接型AEダブレットに焦点を当て,地下き裂の動的な性質の評価方法を開発した。近接型AEダブレットは,発生時間間隔が1秒以下短く連続して発生するAEダブレットである。近接型AEダブレット解析では,従来のAEダブレット/マルチプレット解析のように,地下き裂の相対震源座標を高い精度で推定できるとともに,AEダブレット間の相互作用が強いため,地下き裂の動的な性状を評価できる。 近接型AEダブレットの相対震源座標は,近接型AEダブレットの入力時間差から推定できる。近接型AEダブレットの入力時間差を,ケプストラム解析により高い精度で検出する信号処理法を開発した。この信号処理では,まずP波とS波のコントラストを上げるために,3成分信号を座標変換し,第1S波以前のデータを0に置き換える。この操作によるケプストラムのピークの変化から,P波の入力時間差に対応するケプストラムのピークを検出する。さらに,第2S波以降の信号を0に置き換えS波の相似性を減少させて,ケプストラムのピークを判別する時間-ケフレンシ解析法を考案した。また,数千個〜数万個のAE信号から近接型AEダブレットを自動検出する信号処理法を開発した。 これらの解析法で,1993年にSoultz地熱フィールドで行われた水圧破砕実験で観測したAE信号を解析した。そして,近接型AEダブレットの相対震源座標を推定した。
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