研究課題
基盤研究(C)
この研究プロジェクトは、開花習性に関して自然集団間あるいは集団内に多型が見られ、進化が起こったと推察できるユウスゲ(Hemerocallidaceae)と、カミソニアリフラクタ(Onagraceae)を研究材料として、実際に自然集団に作用している淘汰を測定し、淘汰がどのように作用して進化が起こったのか、そして、その進化に繁殖特性がどのように関連しているのかを明らかにすることを目的とした。行ったことは、(1)2005年にカリフォルニアMojave砂漠に生育するカミソニアリフラクタ集団の微環境の違いを反映した変異を精査し、約1000個体の開花習性に関与する形質の変異と、各個体の適応度を調べ、Lande&Arnold(1983)の量的遺伝学的手法を用い、各形質に作用する淘汰の強さを求めた。また、(2)現地より持ち帰った種子を発芽させ、京都大学の1室にメタルハライドランプを設置し、実生を均一環境に移植栽培し、Half-sibプログラムに基づき、F2の形質変異から各形質の遺伝率を求めようとしている。幾多の困難を超え、現在F1個体の種子を収穫している。(3)自然集団の変異の精査から、開花習性、花の形質、生育型、開花期に淘汰が作用していることが示唆されたが、Passanalysis手法を用いて、これらの形質がどのように関連して進化してきたのかを推察した。(4)カミソニアリフラクタは自家不和合性であるが、開花の遅い個体に、自家和合をする個体が見られた。自家不和合性の崩壊の機構を調べ、開花習性と繁殖特性との関連を調べる。そのために、まず自家不和合性のタイプの特定とallele数を算定している。ユウスゲに関しては、(5)2005年に北海道のエゾキスゲ集団と京都久美浜のユウスゲ集団において、蜜量と適応度との関係、および袋掛け実験を行い繁殖特性について調べた。現在、上記の結果について論文を作成、投稿中あるいは準備中である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Proceeding of the 25^<th> Anniversal Symposium of the Sweeny Granite Mountains Research Center, University of California, Riverside.
ページ: 109-121