研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、より効果的なIGF-I受容体機能を阻害する抗体を新規に作製し、IGF-I受容体に対する分子標的治療法の確立を目指そうとすると同時に、乳がん細胞で抗体により誘起されるIGF-I受容体の分解過程の分子機構を明らかにしようとするものである。1.ファージディスプレイ法の活用により種々のIGF-I受容体に対する抗体をスクリーニングし、より親和性の高いヒト型抗体を調製する。スクリーニングして得られた20種の抗体ファージの特異性検討、エピトープ解析を行った結果、インスリン受容体及び他のタンパク質にも結合し目的物は得られなかった。IGF-I受容体に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから作製した抗体の特異性が、IGF-I受容体特異的であったことと対照的であり、はからずも、ファージディスプレイ法による生体外とマウスによる抗体産生の違いが明らかになった。ハイブリドーマから作製した2種のIGF-I受容体特異的単鎖抗体の解析により、親和性・エピトープに関しての新知見が得られた。この成果は2報として論文発表した。2.既存及び新たなIGF-I受容体特異的抗体の抗がん効果とそのメカニズムを評価する。IGF-I受容体に対する抗体によるダウンレギュレーションのメカニズムの解明に関して、ヒト乳がんMCF-7細胞で、エピトープの異なる抗体でも用いた抗IGF-IR抗体の全てがIGF-I受容体のダウンレギュレーションを引き起こした。抗IGF-I受容体抗体によるIGF-I受容体のダウンレギュレーションはクラスリン被覆小胞を介して細胞内に侵入し、リソソームにて分解されるという事が明らかになった。これらの成果は2回の学会で報告した。さらに、共焦点顕微鏡での解析結果を加え、平成19年、5月にアメリカ生化学・分子生物学会で報告した。現在、投稿準備中である。
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