研究概要 |
細胞内Ca^<2+>ダイナミクス形成に深く関与する細胞内Ca^<2+>放出チャネルであるイノシトール三リン酸(IP_3)受容体の構造機能相関について解析を行い、3つのサブタイプはそれぞれIP_3結合様式(親和性および協同性)が異なることを明らかにした(Iwai M.,et al.2005)。タイプ2 IP_3受容体では、IP_3結合領域のN末端側に位置するサプレッサー領域内にスプライス部位が存在し、この部位を欠く受容体はIP_3結合活性およびCa^<2+>放出チャネル活性を有しないこと、さらに他のIP_3受容体が示す、刺激によって誘発される小胞体膜上でのクラスター化を抑制することを明らかにした(Tateishi Y.,et al.,2005;Iwai M.,et al.2005)。スプライス部位を欠く受容体を発現させることで、アゴニスト刺激により誘導される細胞外からのCa^<2+>流入が抑えられることから、この受容体がCa^<2+>上昇の持続時間に関与している可能性が示唆された(Iwai M.,et al.2005)。IP_3受容体分子の活性に大きな影響を及ぼすサプレッサー領域の3次元構造をX線結晶構造解析により明らかにしたところ、IP_3結合活性の抑制に関与するアミノ酸残基の周りにカルモデュリンやHomer、Rack1といったさまざまな細胞内タンパク質の結合部位が位置することがわかり、リガンド結合親和性とチャネルの活性調節に関する新たな知見が得られた(Bosanac I.,et al.,2005)。IP_3受容体の小胞体内腔側に結合するタンパク質をスクリーニングし、ERp44タンパク質がレドックス、pH、Ca^<2+>依存的にIP_3受容体と結合し、チャネル活性を抑制することを見い出した(Higo T.,et al.,2005)。
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