研究課題
基盤研究(C)
研究目的:オルガネラは細胞にとってきわめて重要な働きをしているにも関わらず、細胞や分子と異なり計測法の開発が遅れている。オルガネラ吸着法は、オルガネラの活性を基盤に吸着させた状態で計測する新しい実験方法で、個々のオルガネラの挙動の計測と放出物の迅速な単離を特徴とする。本研究では、オルガネラの一種であるミトコンドリアにオルガネラ吸着法を適用して、その機能を高い精度で計測・解析した。結果・考察:ミトコンドリアに発現し神経を虚血再還流障害から保護する脱共役蛋白質UCP2、膜透過性遷移を制御し細胞死への関与が知られている蛋白質シクロフィリンD、細胞死を誘導する性質を持つ脂質GD3のそれぞれがミトコンドリアの膜電位および活性酸素放出量に与える影響、ミトコンドリアの膜電位の安定性に影響を与える因子の探索、細胞死を誘導するCa2+添加時の膜構造変化を計測し、3本の論文を発表した。その結果、1.シクロフィリンDやUCP2のミトコンドリアヘの発現は、酸化ストレス誘導性の細胞死からミトコンドリアを保護する、2.細胞死シグナルの脂質メディエーターと考えられているガングリオシドGD3はミトコンドリアに直接作用し活性酸素の発生量を増大させ、内膜をゆっくりと脱分極させる、3.細胞内では、ADP, ATP,マグネシウムイオンによってミトコンドリア膜電位が安定化している、4.細胞死誘導因子放出の原因となるCa2+誘導性のミトコンドリアの膨潤は、膜電位を形成しているミトコンドリアでは抑制されており、膨潤を示した場命でも膨潤抑制剤であるシクロスポリンAは膨潤を抑制することはない、という結果が得られた。これらは、ミトコンドリアが細胞に与える影響を明らかにする上で、重要な情報を提供するものである。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (11件)
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